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最終更新日2024/05/27
Vol.1この症状、これからどうなるの?視神経脊髄炎スペクトラム障害の経過について
- 監修:
- 東北医科薬科大学 医学部
脳神経内科学 教授 中島一郎 先生
第1回
「NMOSDの進行と急性期について」
NMOSDは再発によって障害度が増す病気です
NMOSDは発症後、「再発」を繰り返す病気です。個人差はありますが、再発予防のための治療をしないでいると、1年に1~1.5回の頻度で再発してしまう場合もあります1)。再発していないときに病状が進行することはほとんどありませんが、再発する度に後遺症が残って、障害度が増していくと考えられています(図)。つまり、再発が起こると、初めて発症した時(初発)よりも後遺症が残りやすくなってしまいます1)。そのためNMOSDでは、再発を予防する治療がとても重要になってきます。
急性期の症状は数日でピークに達し、後遺症を残すこともあります
NMOSDの再発とは「発熱や感染症がない時期に、神経症状が24時間以上持続してみられるとき」と定義されています2)。そして、初発時や再発時に症状が現れ、刻々と変化していく期間を「急性期」とよびます。急性期には、症状が数時間~数日程度でピークを迎え、重症となる場合もあるため、炎症を抑える治療を速やかに行う必要があります3)。
症状は実にさまざまで、病巣(病気により損傷を受ける箇所)がどこにあるかによって症状の現れ方も異なってきます4)。実際、視力が低下するなど視神経炎による症状が出た方もいらっしゃれば、手足がしびれる、おしっこが出ないなど脊髄炎による症状が出た方、しゃっくりが止まらない、気分が悪いなど脳の症状が出た方もいらっしゃることでしょう。
症状の重さも人によってさまざまです。たった1回の発作で失明したり、車いすが必要になったりすることもあります。はじめはちょっとした手足の違和感をおぼえる程度だったのが、あっという間に麻痺したり動かなくなったりして、歩けない、立てないなど重い症状に至る場合もあります。
第1回「NMOSDの進行と急性期について」のまとめ
- NMOSDでは、再発を予防する治療がとても重要
- 急性期とよばれる時期には、治療をすぐに開始する
- 出てくる症状は人によってさまざま、重症度も人によってさまざま
- 1)
- 特定非営利活動法人MSキャビン. 視神経髄膜炎完全ブック第2版. 2024, p66.
- 2)
- 特定非営利活動法人MSキャビン. 視神経髄膜炎完全ブック第2版. 2024, p65.
- 3)
- 日本神経学会. 多発性硬化症・視神経髄膜炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023.医学書院. 2023, p150.
- 4)
- 日本神経学会. 多発性硬化症・視神経髄膜炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023.医学書院. 2023, p7.
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- 第1回「NMOSDの進行と急性期について」
- 第2回「NMOSDの寛解期と過ごし方について」