最終更新日2021/01/29

症状を詳しく教えてください

【監修】
東北医科薬科大学 医学部 脳神経内科学
教授 中島 一郎 先生

● 視神経の炎症で起こる症状

急な視力の低下、視野が欠けるなどの症状がみられます。

目がかすむ、見えにくくなるといった症状が、数時間~数日間で生活に支障をきたすほど進んでしまうことがあります。
視野が欠ける、色の区別がつかない、まぶしい、目の奥が痛いなどの症状がでることもあります。

視神経の位置と視野異常

炎症が起こっている部分によって、視野が欠ける症状が異なります。

視神経の炎症部位によって、発現する視野異常が異なることを示す図。視索部の炎症では同名性半盲、視交叉の炎症では両耳側半盲がみられる。視神経部分の炎症では、視野異常ではなく炎症側の視力が低下する。

視野異常の例

中心暗点(中央部分が見えにくい様子)、両耳側半盲(両側が見えにくい様子)、同名性半盲(右側が見えにくい様子)、水平性半盲(上部が見えにくい様子)を示したイメージ図。

● 脊髄の炎症で起こる症状

まひや脱力(運動機能障害)、しびれや痛み(感覚の障害)などが現れます。

運動障害のひとつ、手足のまひには、体の半分がまひする「片まひ」、両足がまひする「対まひ」、両手両足がまひする「四肢まひ」、片手または片足だけがまひする「単まひ」があります。

片まひ、対まひ、四肢まひ、単まひの発症部位のイメージ図。

チクチク、ビリビリする痛みやしびれ、また、体を動かすと鋭い痛みがはしり、手足や腹筋が突っ張る「有痛性強直性(ゆうつうせいきょうちょくせい)けいれん」の症状もよくみられます。

排泄障害が起こることもあります。
尿や便が出にくい、回数が増える、急に排尿したくなる、排尿後もすっきりしない、失禁などの症状がみられます。

トイレに悩んでいる女性のイメージ図。

● 脳の炎症で起こる症状

止まらないしゃっくり、吐き気、眠気などが特徴的です。

視床下部や延髄、大脳など脳の炎症が起きた部位によって違う症状が現れます。

  • 大脳は、外部から入ってきた情報を整理して体を動かしたり、記憶や感情をコントロールしたり、考えたり判断したりする高度な活動をしています。
  • 視床下部は、自律神経系の中枢で、食欲や睡眠、血圧や体温などを調節します。また、尿量を調節するホルモンや乳汁を分泌するホルモンなどを分泌します。
  • 延髄は、心拍や呼吸、食物を飲み込む機能など生命を維持するために欠かせない部位です。しゃっくりの中枢もこの近くにあります。
脳の炎症で起こる症状のイメージ図。大脳の炎症では、意識がぼんやりする、判断力や理解力が下がる、顔面を含む体の片側がまひする(片まひ)、左右どちらかの視野が欠ける(同名性半盲)など。視床下部の炎症では、昼間に異常な眠気がある(ナルコレプシー)、薄い尿が多量にでる(尿崩症)など。延髄の炎症では、しゃっくりが、数日~数週間とまらない、吐き気や嘔吐、食物を飲み込みにくくなりむせる、自力で呼吸ができなくなるなど。

疲労や倦怠感が、多くの視神経脊髄炎(NMOSD)患者さんを悩ませています。

体を動かした後に強い疲労を感じることがあります(運動疲労)。歩いたり、動いたりするときに、活動する時間とともに体が動きにくくなる状態をいいます。
また、活動の有無にかかわらず、強い倦怠感が生じることがあります。
起きたばかりなのに疲れていると感じる、全く動けないなど、生活に支障をきたすほどの症状がでることもあります。

疲労や、倦怠感に悩んでいる女性のイメージ図。

ウートフ現象は、体温上昇で一時的に症状が悪化する現象です。

運動や入浴、気温の上昇などで体温が上昇したときに、視力や筋力が低下することがあります。「ウートフ現象」という一過性のもので、体温が高くなると、傷ついている神経の伝わりが悪くなるためと考えられています。体温が下がると症状は回復します。

他の自己免疫疾患を合併することがあります。

視神経脊髄炎(NMOSD)とは別の自己免疫疾患の症状がでることもあります。
気になる症状があったら、小さなことでも医師に相談してください。

他の自己免疫疾患のイメージ図。重症筋無力症、強皮症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など。
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