視神経脊髄炎(NMOSD)の情報を提供し、患者さんと家族の
思いを未来へつなぐサイト
提供:中外製薬株式会社
最終更新日2024/03/25
Vol.9症状が落ち着いていても、通院は必要?定期受診の重要性について
- 監修:
- 医療法人社団 済安堂 お茶の水・井上眼科クリニック
副院長 山上明子 先生
第2回
「脳神経内科と眼科での検査」
脳神経内科への定期受診に加え、眼科検査も重要
検査としては血液検査やMRI検査など、脳神経内科(神経内科)で行う検査のほか、治療薬によっては治療中の感染症の有無を調べるために、胸部X線検査・胸部CT検査を行うこともあります。
脳神経内科で行う主な定期検査の内容
- 血液検査
- 治療法の選択や副作用の予防、治療の効果判定、合併症があるかどうかを調べるためなどを目的に行われます。
- MRI検査
(磁気共鳴画像検査) - NMOSDに特徴的な病変や、自覚症状がない炎症を見つけることができるので、再発予防につながります。また、治療薬の投与前後の画像を比較することで、治療効果を確認することもできます。
- 胸部X線検査、
胸部CT検査 - 治療薬によっては感染症の症状が現れにくくなる可能性があるため、感染症の有無を調べる目的で行う場合があります。
- *
- ほかに、脳脊髄液検査や誘発電位検査、総合障害度評価尺度(EDSS)などもあります。
どのような検査が必要ですか?」 →
また、NMOSDでは「視神経炎」がよくみられることがあるため、眼科で定期検査を受けることも重要です。視神経炎とは、何らかの原因で視神経に炎症が起こり視覚障害を来す疾患のことです。NMOSDによる視神経炎では、視力低下や視野欠損、色覚異常や眼痛といった症状がよくみられます1)。症状の現れ方や程度は炎症が起こった部位や範囲によって異なりますが、数時間~数日間で急激に視覚障害が進行したり、再発を繰り返すうちに障害の程度が重くなることもあります2)。物が見えづらい、ぼやけて見える、視野が欠ける、まぶしいなど、見え方がいつもと違うと感じたときは、できるだけ早く主治医に相談し、眼科検査を受けることが大切です。自覚症状が変わらないときも定期的に医師の診察を受けましょう。
眼科で行う検査の内容
- 視力検査
-
目の見え方の度合いを数値化したものです。屈折異常(近視、遠視や乱視)を矯正した矯正視力が低下していないか調べます。
- 視野検査
-
視野の中に見えづらい部分があるかどうかを確認します。
- 瞳孔反射
-
光に対する瞳孔の反射を確認します。視神経炎によって光に対する反射がなくなったり、弱くなったりすることがあります。
- 眼底検査
-
目の奥の様子を確認する検査です。視神経炎では目の奥にある視神経乳頭が腫れることがあります。
- 中心フリッカー値
(CFF)測定検査 -
視神経の障害を調べる検査です。視神経炎の早期診断や治療効果の判定に有用です。
- 光干渉断層計
(OCT)検査 -
近赤外線を利用して、視神経や網膜の神経線維の厚みを測定します。
見え方の変化に早く気づくには?
視神経炎が片目のみで軽度の場合は、もう片方の健康な目で見え方を補ってしまうため、視力低下や視野欠損など見え方の変化に気づきにくいこともあります。
「アムスラーチャート」を使って、片目ずつ見え方の変化をチェックしてみましょう。
自覚症状がなくても、定期的に確認することが早期発見につながります。
第2回
「脳神経内科と眼科での検査」のまとめ
- 視覚障害はNMOSDによくみられる症状の1つ
定期的にチェックし、見え方に違和感があったときは、主治医に相談を
- 1)
- 特定非営利活動法人MS キャビン. 視神経脊髄炎完全ブック第1版. 2018, p20-21.
- 2)
- 特定非営利活動法人MS キャビン. 視神経脊髄炎完全ブック第1版. 2018, p64, 71.
- 一覧へ戻る
- 第1回「定期受診の重要性」
- 第2回「脳神経内科と眼科での検査」