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最終更新日2023/07/19
Vol.8自分らしい毎日を送るために運動のすすめ
- 監修:
- 国立研究開発法人
国立精神・神経医療研究センター病院
理学療法士 近藤夕騎 先生
第1回
「リハビリテーションと運動療法」
NMOSDのリハビリテーション
リハビリテーションとは、単なる機能回復ではなく、「QOL(生活の質)の向上」を目標にさまざまな手段を用いて、患者さんが少しでも高いQOLを実現し、充実した、満足感のある生活を再獲得するためのプロセスを指します。NMOSDの患者さんも、症状の改善や身体的機能の回復に励み、車いすや杖などの補装具を活用することで、自分らしい毎日を再獲得できるようリハビリテーション治療に取り組んでいる方が多くいらっしゃいます。
NMOSDの患者さんが行うリハビリテーション治療は、同じ中枢神経系の炎症性脱髄疾患である多発性硬化症(MS)に準じて行われることが多く1)、その内容は医師をはじめ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリテーションの専門家が、個々の患者さんの症状や生活背景、そして患者さんの価値観や意向・希望を踏まえ、治療の選択肢を提示し、患者さんの意思決定に基づいてプログラム内容を作成します。実際に進めていくと、色々とわからないことや不安なことが出てくることでしょう。そんなときは、些細なことでも遠慮せずに医師やリハビリテーションの専門家に相談してください。
運動療法と薬物治療の両方が大切です
NMOSDの場合、障害の程度にかかわらずリハビリテーション治療の1つとして「運動療法」の実施がすすめられています2)。運動療法とは、運動を行って障害や疾患の治療を行う方法のことで、理学療法士が主に担当する分野です。
運動療法は、症状が落ち着いた寛解期に行います。積極的に体を動かして急性期治療中に落ちてしまった体力や筋力を取り戻したり、これ以上落ちないように維持したりして、健康的な生活を送るために運動を行います。また、運動療法は、筋力の低下、つっぱり感、疲労感などの症状改善に効果があると示されている3)ので、是非寛解期には積極的に運動療法を行っていただきたいと思います。ただし、気をつけていただきたいのが、運動療法だけで症状がすべて改善するわけではないということです。医師による薬物治療も、必ず一緒に行っていくことが重要です。
第1回「リハビリテーションと運動療法」のまとめ
- 医師や専門家の指導のもと、あなたの状態に合ったリハビリテーションを行いましょう
- 症状の改善には、運動療法と薬物治療の両方を行うことが大切
- 1)
- 日本神経治療学会. 標準的神経治療:視神経脊髄炎(NMO). 神経治療 30(6). 2013, p 790.
- 2)
- 日本神経学会. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン 2017. 医学書院. 2017, p 286-287.
- 3)
- Giesser BS: Ther Adv Neurol Disord 2015; 8(3): 123-130.
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- 第2回「運動を行う際のポイント」