最終更新日2023/10/30
視神経脊髄炎(NMOSD)はどのように治療しますか?
- 【監修】
- 東北医科薬科大学 医学部 脳神経内科学
教授 中島 一郎 先生
急性期の炎症をできるだけ早く抑え、再発させないことが重要です。
急性期の炎症をできるだけ早く抑え、次の炎症を予防することで、神経のダメージを最小限にとどめることができます。
急性期治療開く
AQP4抗体は、視神経脊髄炎(NMOSD)の診断のバイオマーカーとして認められているため、早期にAQP4抗体が陽性かどうか確認し、速やかに炎症を抑える治療を行います。
再発予防治療開く
視神経脊髄炎(NMOSD)は、無治療では年間に1~1.5回再発するといわれ、再発するたびに症状が悪化し、障害が残りやすい疾患です。
急性期治療後、再発を予防するためにも治療が必要です。
痛み・しびれへの対症法開く
体を動かすと鋭い痛みがある、しびれが続くなどの症状に合わせて、痛みを止めるための治療が行われます。
感覚が鈍い場合の対処法開く
ケガややけどに注意が必要です。自分で気づきにくいことがあるため、湯たんぽやカイロなどで低温やけどをすることもあります。
皮膚に傷や炎症がないか、こまめに観察することも大切です。
倦怠感への対処法開く
視神経脊髄炎(NMOSD)の症状の「とても強い倦怠感」に対しては、薬物治療を行います。医師に症状を詳しく伝えることが重要です。また、自分自身で倦怠感の波を記録して把握すると、それに適したライフスタイルを工夫することができます。
まひや筋力低下がある場合の対応開く
リハビリテーション治療、靴やつえ、車いすなど装具や補装具を利用しましょう。
●リハビリテーション
理学療法などを利用して積極的に体力や筋力維持をすることが大切です。水中の運動なども勧められます。
●装具・補装具
靴やつえ、車いすなど、さまざまな障害に対応した補装具があります。理学療法士らに相談して自分に適した装具を選んでください。
●生活環境の整備
手すりやスロープ、バリアフリーなど生活環境の整備が必要になることもあります。理学療法士、作業療法士にアドバイスを求めると良いでしょう。また、支援制度などもあるので、医療ソーシャルワーカーに相談してください。
視覚障害への対応開く
後遺症として視覚障害が残ってしまった場合も、遮光眼鏡や拡大鏡などの補助具で対応します。
眼科医療機関では眼科医や視能訓練士によるロービジョンケアが行われており、その他の支援機関には歩行訓練士など視覚障害のリハビリテーションをサポートできる専門家もいます。
排泄障害への対応開く
泌尿器科や消化器内科を受診して、治療方法・対処方法を相談してください。
排泄しにくい、失禁など排泄を止められないなど、人によって症状は大きく異なります。症状に合わせたお薬や体操、食事の注意などを組み合わせて対応します。
排尿障害がある場合は、尿路感染症にかかりやすいため注意が必要です。