最終更新日2023/10/30

診断するために、どのような検査が必要ですか?

【監修】
東北医科薬科大学 医学部 脳神経内科学
教授 中島 一郎 先生

問診や神経診察で、症状を詳しく聞き取り、神経の異常がないか観察します。

さまざまな症状がでる病気なので、小さな変化も、詳しく伝えてください。

  • ● 言語:言葉の明瞭さやリズムに問題がないかなどを観察します。
  • ● 目や耳、口、触覚:視野の異常、目の動き、めまい、耳鳴り、聴力の左右差、舌の動き、発音、痛みや熱さの認識などを観察します。
  • ● 姿勢・歩行、筋力・運動、反射:立っている姿勢や歩き方、スムーズな動きができるかなど、四肢の筋力やしびれ・まひなどについて観察します。

目の動きや視野の検査

視野検査や眼球運動検査のイメージ図。視野検査や眼球運動検査のイメージ図。

● 姿勢・歩行、筋力・運動、反射:立っている姿勢や歩き方、スムーズな動きができるかなど、四肢の筋力やしびれ・まひなどについて観察します。

運動機能検査

運動機能検査、指鼻試験と上腕二頭筋反射のイメージ図。運動機能検査、指鼻試験と上腕二頭筋反射のイメージ図。

眼科検査で、視力、視野、光の点滅を見る検査などを行います。

視神経炎による視神経の働きを確認するための検査を行います。

  • ● 視力検査:一般的な視力検査で、0.1以下になることもあります。
  • ● 視野検査:視野が部分的に欠ける症状を検査します。視神経脊髄炎(NMOSD)では、中心暗点、両耳側半盲、同名性半盲、水平性半盲などがみられます。
  • ● 瞳孔反射:瞳孔は光に対して大きくなったり小さくなったりしますが、視神経炎では、その反射がなくなったり、弱くなったりします。
  • ● 中心フリッカー値(CFF)測定検査:光の点滅が判別できる周波数を測定します。35Hz未満で異常と判断します。視力の低下より先にCFFが低下するので視神経炎の早期診断に有用です。
  • ● 光干渉断層計(OCT)検査:網膜の厚さを測定します。
  • ● 眼底検査:炎症時に視神経乳頭が赤くふくらむことがあります。視力低下の後遺症が強い場合は視神経乳頭が萎縮します。
一般的な視力検査、瞳孔反射検査、中心フリッカー値(CFF)測定検査のイメージ図。

血液検査で病気の原因であるAQP4抗体などを調べます。

血液検査によるAQP4抗体検査は、視神経脊髄炎(NMOSD)と判断できる検査のひとつです。検査をする方法や時期によって偽陰性になることがあるため、他の検査法で再度検査を行うこともあります。
より詳しく調べるために、腰椎穿刺(ようついせんし)をして脳脊髄液を採取して、髄液中の細胞数、総タンパク濃度などを調べることがあります。

AQP4抗体検査、脳脊髄液検査(腰椎穿刺)のイメージ図。

MRI検査(磁気共鳴画像検査)で、視神経脊髄炎(NMOSD)に特徴的な病変があるか確認します。

強い磁気と電波を使って、脳や脊髄などの断面画像を撮影します。自覚症状がなくても炎症をとらえることができます。

MRI検査のイメージ図。

視神経脊髄炎(NMOSD)では、以下のような特徴がみられます。

  • ● 3椎体以上の長い病変
  • ● 脊髄中心部の病変
脳、視神経、脳幹・延髄、椎体、脊髄、そのうち3椎体以上の長い病変のイメージ図。脊髄断面図、前根、灰白質、側索、後根、後索、中心管、その中心に病巣があるイメージ図。

誘発電位検査で、目・耳、手足などから脳への刺激の伝わり方を調べます。

  • ● 聴性脳幹誘発電位(BAEP):ヘッドホンで、カチカチという音を聞いて、その刺激が脳に伝わるまでの時間を測定します。
  • ● 視覚誘発電位(VEP):暗い部屋で点滅する光や白黒が反転するパターン画像などを見つめるなどして測定します。
  • ● 体性感覚誘発電位(SEP):左右の手首、足首に軽い電気刺激を与えて測定します。
  • ● 運動誘発電位(MEP):脳に磁気刺激を与えて、運動神経の機能を観察します。
誘発電位検査のイメージ図。

「総合障害度評価尺度(EDSS)」で身体機能障害を評価します。

視神経脊髄炎(NMOSD)の症状に合わせた障害度評価尺度がないため、似た病気と考えられている多発性硬化症(MS)で用いているEDSSという評価基準を用いて、障害度を測ります。
診断時の障害度判定だけでなく、症状・治療経過を知るのにも役立ちます。また、難病医療費助成制度の「重症」の判定基準としても使用されています。
EDSSは、0.0から10.0までを0.5ポイント刻みでスコア化したもので、歩行機能を中心とした運動障害度を評価する尺度です。
EDSSとあわせて、機能別障害度(FS)を評価します。

(FS)8つのカテゴリー(錐体路機能、小脳機能、脳幹機能、感覚機能、膀胱直腸機能、視覚機能、精神機能、その他)のそれぞれの症状を0(正常)~6(障害が強い)でスコア化します。

総合障害度評価尺度(EDSS)を表した図。

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