まず、AQP4抗体が「陽性」かどうかを検査します。
陽性の場合、次にあげる6つの症状のうち、1つ以上の症状があり、かつ、他の病気による症状ではないと判断されると視神経脊髄炎(NMOSD)と診断されます。
6つの症状とは、1.視神経炎、2.急性脊髄炎、3.最後野症状:吐気・嘔吐・しゃっくりなど、4.急性脳幹症状、5.間脳MRI病変がある症候性ナルコレプシーあるいは急性間脳症候群、6.脳MRI病変がある症候性大脳症候群です。
陰性または不明の場合、先ほどの6つの症状のうち2つ以上の症状があてはまり、そのうち、必ず1つ以上は1.視神経炎、2.急性脊髄炎、3.最後野症状によるものであることです。さらに、複数の部位に病巣があり、MRI検査で視神経炎か急性脊髄炎か最後野症状か急性脳幹症状のいずれかを示す所見があるという条件にあてはまり、かつ、他の病気による症状ではないと判断されると視神経脊髄炎(NMOSD)と診断されます。
AQP4抗体陰性の場合に判断基準となるMRI所見は、急性視神経炎では、a.脳MRI病変なし、あるいは非特異的白質病変のみ、b.視神経MRIで長い視神経病変あり、c.視交叉MRI病変ありのうちいずれかの所見がみられる場合です。
急性脊髄炎では、3椎体以上の長い病変がある、または、過去の脊髄炎で3椎体以上の長い脊髄萎縮がある場合、最後野症状では延髄背側の最後野に病変がある場合、急性脳幹症状では、上衣周囲の脳幹病変がある場合です。
視神経脊髄炎(NMOSD)にはよく似た病気がいくつかあり、鑑別が必要です。
以前、視神経脊髄炎(NMOSD)はMSの一種と考えられていましたが、現在は別の病気だと判明しています。
中枢神経系に炎症を起こす疾患は他にもたくさんあり、さらに別のタイプの抗体(抗MOG抗体:抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク(myelin-oligodendrocyte glycoprotein)抗体)も発見され、これらの分類や原因についても、研究が進められています。