視神経脊髄炎(NMOSD)の情報を提供し、患者さんと家族の
思いを未来へつなぐサイト
提供:中外製薬株式会社
最終更新日2024/11/13
Beauty&Fashion Book
-
女性に多いNMOSDはどんな疾患?
清水先生(以下敬称略):脳や脊髄、視神経などの中枢神経の疾患です。髄液や血液などの液体の出し入れに関係するタンパク質「アクアポリン4抗体」を体の中に作ってしまい、その自己抗体が神経細胞に正常に機能するために重要な役割を果たす脳細胞のひとつである「アストロサイト」を攻撃することが原因のひとつ。男女比率は女性が9割、男性が1割、発症年齢は平均40歳台に多く見られます。現在、日本人では推定6,500人ほどですが、患者さんは増加傾向です。
池口先生(以下敬称略):炎症の場所は視神経、脊髄、脳といった中枢神経系であり、目や全身にさまざまな症状がみられます。四肢の筋力低下や視力が低下するなど、症状や程度は患者さんによって異なります。1回の発作が重篤なため、再発しないよう治療が必要で、これまでは経験的にステロイド※1と免疫抑制薬※2が使われてきました。現在は生物学的製剤が使えるようになり、新たな治療薬として再発予防効果が期待されています。※1 グルココルチコイドのこと ※2 NMOSDでは保険適応外
-
治療に関して今悩んでいることは?
清水:ステロイドを服薬することで顔が丸くなる(ムーンフェイス)、赤ら顔、ニキビ、中心性肥満、首や肩周りに脂肪がつきやすい(バッファローショルダー)という症状が出ることがあり、女性は特に見た目や、体型の変化の悩みが深刻です。
池口:ステロイドの作用で、食欲増進や体に水分を溜めやすいので太りやすく、むくみやすいなど、二重三重の悩みを抱えてしまうことも。足の筋力が弱っているとダイエットのための運動も難しいので、まずは食事のカロリーを抑える、塩分を控えることをアドバイスしています。ステロイドの投薬を続けるのが辛いときは、遠慮せずに医師に相談し、自身の判断でやめないようにしてください。 -
どんなことでもまずはドクターに相談を
清水:痛みや、痺れ、違和感など、感覚異常の症状。便秘や頻尿、失禁など、いずれも外観からはわかりにくく、伝えにくい症状もありますが、遠慮や我慢をせずに主治医にご相談ください。
池口:40歳台で発症することが多いとあって、仕事や育児、親の介護やお孫さんのお世話をしている方も多くいらっしゃいます。多忙な世代だからこそ、再発させないために適切な治療を続けていくことが重要です。まずは治療はもちろん副作用の悩みについても相談していただきたいと思います。 -
治療の選択肢が増えSDM※3が注目
池口:「生物学的製剤」は特定の自己抗体・病態に関わる免疫物質(サイトカイン)や蛋白の働きを抑えることで、再発予防効果を示します。2024年5月時点で、NMOSDでは5種類の生物学的製剤を使用することができます。
清水:神経免疫疾患は女性が多く罹患し、妊娠可能な年代とも重なりますが、無事出産をされた患者さんもいらっしゃいます。自分が今一番何をしたいか、その目的を達成するためには何をどうすればよいのかを、遠慮なく話していただいて、患者さんと一緒に最適な治療を考えていきます。このような治療の決め方をSDMといいます。
池口:ある患者さんも、ステロイド治療による体型の変化などに悩まれておられました。しかし、ステロイド単剤で治療をしている方が急にステロイドを減らすと再発のリスクが生じる可能性があります。生物学的製剤は治験で再発予防効果が確認されているので、併用する治療でステロイド減量による再発リスクを回避することができ、患者さんの悩みが軽減されたケースもあります。リスクと効果を考慮し、患者さんの症状や意思を加味してベストな治療を心がけています。※3 Shared Decision Making
「NMOSD」(視神経脊髄炎スペクトラム障害)とは?
本来守るべき自分の細胞を間違って攻撃してしまう「自己免疫疾患」のひとつで中枢神経の病気。主に脳や脊髄、視神経に炎症が起こるのが特徴です。患者さんによって、炎症が起こる部位が異なるので、症状もさまざまです。
●日本全国で約6,500人
●男女比率1(男):9(女)
●発症年齢30代後半~50代に多い
東京女子医科大学
医療安全科・脳神経内科兼務 教授
清水優子 先生
東京女子医科大学卒業。日本内科学会認定医、日本神経学会専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本頭痛学会専門医・指導医、日本神経免疫学会神経免疫診療認定医、神経免疫疾患[視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)などを研究。
東京女子医科大学
脳神経内科 講師
池口亮太郎 先生
東京医科大学卒業。日本神経学会神経内科専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本神経免疫学会神経免疫診療認定医。神経免疫疾患を中心に、脳神経疾患全般の診療にあたる。著しい進歩を遂げている神経免疫領域では新旧の治療薬を適切に選択することが重要だと考え、研究を重ねている。
-
MUSEL Walking &Life アカデミー代表
浅井 香葉子さん(50歳)23歳頃膠原病、30代後半で子宮頸癌を患い、治療の副作用でムーンフェイス、肌が薄くなり血管が目立ち、誰にも会いたくない時期も。化粧品は無添加のものに変え、薬のせいだと落ち込みすぎないよう心がけました。
-
看護師・大学院生
朴 明子さん(53歳)上顎洞癌の治療による副作用で全身の倦怠感や免疫力の低下が深刻でした。皮膚の赤みは冷却、むくみは塩分を控えて、スキンケアは敏感肌用に切り替え。不安でしたが深刻に考えすぎないようにしました。
-
会社経営
浜木 真紀子さん(50歳)37歳頃、胃癌で胃を全摘、パニック障害、突発性難聴を発症。食べたいものを食べて、好きな映画を見たり、ドライブしたり、足ツボマッサージに行ったり、1人の時間を増やし自分自身を癒すよう心掛けていました。