視神経脊髄炎(NMOSD)の情報を提供し、患者さんと家族の
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提供:中外製薬株式会社
最終更新日2024/07/04
Vol.4今を大切に生活するためにこの病気との付き合い方
- 監修:
- 医療法人セレス さっぽろ神経内科病院 理事 西山和子 先生
私は、北海道で看護師となってから約40年間、神経難病の看護に携わっております。現在、理事を務めている当院では、「神経難病を患われている方、家族の皆様の在宅生活を支えるサポーターでありたい」という思いをすべてのスタッフが共有し、さまざまな神経難病の患者さん(NMOSDの患者さんおよそ20名、多発性硬化症の患者さんおよそ200名)をサポートしております。
1973年北海道社会保険看護学校卒業。さっぽろ神経内科クリニックの立ち上げに参加し、2007年の開院時から看護部長として勤務。現在はさっぽろ神経内科病院 理事。
日本難病看護学会認定難病看護師、医療的ケア教員(厚生労働省)、特定非営利活動法人「ポラリス」北海道神経難病研究会 代表理事。
「病気に支配されない生活スタイルを組み立てよう」
当院のNMOSD患者さんの発症年齢は10~50歳台とばらつきはあるものの、9割が女性です。就学・就労・恋愛・結婚・出産・子育てなど多くのライフイベントがあり、忙しくも楽しい時期に神経難病と診断され、病気が原因で諦めなければならないことや自由が得られないこともあるかもしれません。
NMOSDは長い経過をたどる病気です。いつでも前向きとはいかず、積極的になれないときもあるでしょう。それでも自分の症状と生活の中で起こる問題との関連を理解し、安全で快適に生活するにはどうすれば良いかを考え、ご自分の生活内容を組み立てていくことが大切だと思います。病気だからと自分の行動に必要以上のブレーキをかけず、自由な気持ちで何にでも挑戦することで、病気に支配されない生活スタイルがつくられていくのではないかと感じます。
NMOSDの症状やその程度は千差万別です1)。病気の受け止め方も人それぞれであり、個別での対応が必要です。ここでは、NMOSDの治療と生活について、考え方や向き合い方をお伝えしたいと思います。より具体的な対策については、かかられている医療機関の主治医や看護師に相談されることをおすすめします。
- 1)
- 特定非営利活動法人MSキャビン. 視神経脊髄炎完全ブック第2版. 2024, p23.
治療と生活に対する
考え方のポイント
治療と生活の再構築は、少しずつご自分のペースで大丈夫
症状、仕事、家庭、入院、再発、薬の副作用など、これからどうなるか先の見えない不安な状況から落ち着くまでには個人差があります。しかし、皆さんご自分のペースで混乱を1つ1つ解きほぐし、自分の足で歩きだそうとされています。その過程を私たちは見守り続けています。不安な気持ちや混乱している事柄などは、主治医・看護師など、病院の誰に伝えてもらってもよいのです。また、病院に行くことや気になる症状が現れてもご家族に言い出しにくいなど、ご家族に気を遣って生活をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。患者さんの「生活」の面に直接的に主治医・看護師が介入することは難しいですが、必要であればご家族の方とも色々なお話をさせていただきます。安全で快適な生活を再構築するにはどうすればいいのか一緒に考えながら少しずつ自分のペースで進みましょう。
気になる症状の対策に、日常生活を記録してみませんか
疲労感やウートフ現象*は多くの患者さんが訴える症状ですが、すべての患者さんにみられるわけではありません。また、程度にも個人差があります。これらの症状とどう向き合っていけばいいのでしょうか。例えば疲労感ですが、1ヵ月ほど日常生活の様子を記録して、1日の中で疲れやすい時間帯がいつなのかを確認してみてください。ご自分の疲れやすい時間帯がわかれば、仕事のシフトを午後から朝早くに変える、夕食の支度を午前中にするなど、疲れやすい時間を避けて仕事をするといった対策が取れると思います。
疲労感やウートフ現象はご本人の気力や努力で解決できる症状ではありません。職場や家庭で理解が得られないときは、主治医から話をしてもらうことも検討されてはいかがでしょうか。
- *
- ウートフ現象:体温の上昇に伴って、一時的に神経症状が生じたり悪化したりすること
今を大切に生活するために、定期受診で自分の病状を確認しましょう
定期的な通院に負担を感じている方もいらっしゃると思います。しかし、自覚症状はなくてもMRI検査をすると脳や脊髄などに新たな炎症がみられることがあります。治療中の患者さんは定期的な受診で副作用や再発の確認をしながら治療を継続し体を整える、治療をしていない患者さんも定期的な検査で自分の体に変化がないことを確認し、今を大切に生活していただきたいと思います。
症状が急に悪化したとき、経験のない症状が出たとき、早めに診察を受けましょう
新しい症状が現れた、すでにある症状が悪化したとき、それが一時的なものなのか、それとも再発なのか、ご自分で判断するのは難しいと思います。ですから、主治医や看護師に相談しましょう。例えば初めて排尿障害が起こったときに、どこに受診すればよいかわからず、診断がつかない方もいらっしゃいます。排尿障害がNMOSDによる症状かどうかを確認するために、脳神経内科などの専門施設で診察を受ける必要があります。症状の急な悪化はできるだけ早く、そして、これまで経験のない症状に気づいたときも診察を受けるようにしましょう。
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