<提供:中外製薬株式会社>
最終更新日2021/09/01
エンスプリングの副作用
- 【監修】
- 東北医科薬科大学 医学部 脳神経内科学
教授 中島 一郎 先生
治療後に注意すべき症状
これまでの試験成績以外にも類似の医薬品から副作用の情報が集められています。
特に以下でご紹介する症状を感じたら、次の受診日を待たず、すぐに主治医、看護師、薬剤師にお申し出ください。
エンスプリングによる治療中はエンスプリングカードを常に携行し、エンスプリングによるNMOSD治療を行っている医療機関以外を受診する際はカードを提示し、エンスプリング投与中であることをお伝えください。
- 感染症
- エンスプリングは病気に対する抵抗力を弱める可能性があります。通常、感染症にかかると、発熱したり体がだるくなったり、炎症や感染の指標となるCRP検査の値が高くなったりするのですが、エンスプリングの治療により、このような感染症の症状や検査値の変化がわかりにくくなる可能性があります。軽い症状だと思っても重症となる可能性もありますので、すぐに医療機関を受診してください。
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- 呼吸器感染症(上気道感染など):発熱、息苦しさ、のどの痛み、せき、たん、鼻水など
- 尿路感染症(膀胱炎など):排尿時の痛み、残尿感、尿の混濁、排尿回数の増加など
- 血球減少
- 血球には、赤血球、白血球、血小板があります。白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の5種の細胞があり、そのうち、好中球、好酸球、好塩基球の3種を顆粒球といいます。
白血球が減少した状態を白血球減少症といい、顆粒球がほとんどない状態を無顆粒球症といいます。白血球の大半を占める好中球とリンパ球の減少に注意が必要です。好中球は、体に侵入した細菌などを退治する働きがあるため、好中球が減少すると、肺炎や敗血症などの重篤な感染症にかかりやすくなります。
血小板は、出血を止める働きをする細胞です。そのため、減少すると出血しやすくなります。 -
- 白血球減少症:体がだるい(好中球減少症)、感染しやすい(リンパ球減少症)、発熱、のどの痛み(無顆粒球症)など
- 血小板減少症:出血しやすくなる、あざや皮下出血、鼻血、歯ぐきの出血、月経過多など
使用時に起こる副作用(アレルギー反応)
アレルギー反応は、お薬が体質に合わないために起こります。エンスプリングの使用中や使用後24時間以内に、下記のような症状が出た場合は、すぐに主治医、看護師、薬剤師にお申し出ください。
息苦しさ、めまい、心臓がドキドキする、かゆみ、発疹、寒気、吐き気・嘔吐など
皮下注射時に起こる副作用(注射に伴う反応)
皮下注射の場合には、注射をした部位に急性の炎症反応がみられることがあります。下記のような症状が出た場合は、主治医、看護師、薬剤師にお申し出ください。
発疹や腫れ、かゆみ、出血など
そのほかの注意すべき副作用
類似の医薬品の臨床試験成績では、一部の患者さんで肝機能障害(肝臓の機能が低下する症状)などの副作用が認められました。
下記のような症状にご注意ください。
- 肝機能障害:体がだるい、発熱、吐き気・嘔吐、食欲不振、白目や皮膚が黄色くなる、尿が褐色になるなど